第4期特定保健指導に向けて ~コラボヘルスのさらなる推進へ~

なぜ第4期からアウトカム評価が導入され、2㎝2㎏減が目安になったか岡田 邦夫
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長
岡田 邦夫

急速な高齢化と人口減少が進む我が国が明るい未来を創造するためには、あらゆる分野において個人はセルフケアを、そして組織・集団はtaskforceとして課せられたミッションに対して結果を出し続けていくことが必要である。健康問題もしかりである。感染症対策におけるワクチン接種による集団免疫と同じように、生活習慣病に移行させないための特定健診・特定保健指導がある。

第4期特定健診・特定保健指導において、アウトカム評価を基本とする評価方法が導入された。保険者ならびに保健指導実施者、対象者はそれぞれのミッションを果たさなければ問題解決には至らない。コラボヘルスは事業主と保険者の連携、そして保健事業は、保険者、保健指導実施者と対象者が生活習慣病に移行させないための保健指導である。生活習慣を変容することで初回面接から3か月以上の経過後に腹囲2㎝・体重2㎏減のアウトカムを出し、生活習慣病予防のプロセスを作り上げる社会的要請がある。団塊の世代が後期高齢者となり、持続可能な社会の維持のためにも、すべての世代が健康で豊かな生活を送るための社会実装である。

定年が延長され、生涯現役社会を近未来に控えた我が国においては、一人ひとりがその役割を果たし、結果を出し続けることが必要不可欠となっている。そのためには、健康が必要不可欠であり、企業や社会は、人的資本に対して投資をして、社会的基盤を強固にすることが必要である。

特定健診の受診率を100%とするアウトプットに始まり、特定保健指導のプロセスを経て、多くの対象者がその目標を達成することでアウトカム評価がなされるが、それは、関与するすべての人が課せられたミッションを果たしたことの証でもある。そしてその結果の蓄積が社会を豊かにするのである。すでに目標を達成した人達は、翌年の健診結果において改善傾向が認められたというエビデンスが存在している。

事業者と保険者の原動力となって、第4期の特定健診・特定保健指導のアウトカムを導くコラボヘルスが必要不可欠である。

岡田 邦夫(おかだ くにお)
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 
経済産業省健康・医療新産業協議会健康投資WG委員
健康長寿産業連合会理事
大阪府医師会健康スポーツ医学委員会委員長
大阪商工会議所メンタルヘルスマネジメント検定委員会副委員長
女子栄養大学大学院客員教授 等

1977年大阪市立大学医学部卒業、82年大阪市立大学大学院医学研究科修了(医学博士)。
大阪ガス本社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て、統括産業医、顧問として2020年3月まで従事。
2006年に特定非営利活動法人 健康経営研究会を設立し、健康経営の普及啓発を推進。
厚生労働省、文部科学省のメンタルヘルスに係る検討会委員をはじめ、経済産業省 健康・医療新産業協議会 健康投資ワーキンググループ委員などを歴任。
『「健康経営」推進ガイドブック』(経団連出版)、『これからの人と企業を創る健康経営』(健康経営研究会・共著)など著書多数。